
「本当にこれが一生ものになるのだろうか?」
そうつぶやいていた女性がいました。幼い頃から家族と共に使い続けた南部鉄瓶を、嫁ぎ先へも大切に持っていった彼女。私たちは、そんな姿を拝見するたびに、ものづくりの原点を思い出します。

その鉄瓶は朝のキッチンで、湯気とともに豆の香りを引き立てたり、夕方には静かなひとときにお茶を注いだりと、彼女の日常にすっかり溶け込んでいるようです。

蓋が揺れる音を聞くと、子どもの頃に母親から声をかけられた懐かしい瞬間がよみがえる。使い込むほどに沸かしたお湯がまろやかになっていくのは、鉄そのものの特性だけでなく、家族から引き継いだ愛情が溶け込んだからなのかもしれません。

南部鉄瓶ならではの重みは、確かな耐久性と保温性を物語ります。実際、彼女が何十年と大切にしているように、お手入れさえ続ければ、次の世代にもそのまま渡せるほど丈夫です。一度使い始めると、湯を沸かす音すらも心地よい生活の一部になり、自然と「今日もがんばろう」という前向きな気持ちが湧いてくるといいます。

私たちは、そんな“暮らしに寄り添う道具”こそが南部鉄瓶の真価だと考えています。一生ものの相棒として、あなたの毎日をそっと支えてくれる。そんな存在でありたいです。